貯蓄と投資と投機の違いって? | 今今と今という間に今ぞ無く 今という間に今ぞ過ぎ行く by道歌

貯蓄と投資と投機の違いって?

このところ景気回復のせいか市場が活発なようです

個人で資産運用する方も増えてきていますね

ところで貯蓄と投資と投機って良く聞く言葉ですが

違いはなんでしょう?

ここで重要になるのはリスクのとり方の違いです

貯蓄というとリスクゼロが基本です

ペイオフ解禁で銀行の状態に関するリスクは多少あっても

かなりリスクは小さいものだと考えられます

これに対して投資や投機はリスクが発生します

ではこの二つの違いはなんでしょうか?

この二つの決定的な違いは資産を投入する目的にあります

つまり、投資というのは長期的な視点で投資先企業の成長を

支える目的で行うものです

投資先の成長を支える目的で行うものであるため、株価の上昇下降に

一喜一憂することなく配当などによる利益を当てにします

逆に言えば投資先企業に対して一定の興味なり愛着なりが

なければできないものであるといえます

また、投資先企業として普通は長期的な成長期待が高い

企業を選ぶため。投資リスクは比較的低く済むと言えます

これにたいして投機はいわゆる株で一儲けというやつです

つまり、短期的な株価の上昇下降によって利ざやを稼ぐわけです

株価が安いときに購入して、株価が上がったときに売るのが基本です

そこに、相手先企業への興味などは無くてもかまいません

だたし、短期的な儲けに走るあまり大きなリスクを背負うことも

少なくありません

一般的に個人で株をやっているというとこの投機目的の場合が

多いと思いますが、実は一番リスクの高いギャンブルとそれほど

変わらない行為であるといえます

この三つを比較すると安全性に関しては貯蓄>投資>投機

ということになり、収益性では投機>投資>貯蓄となります

基本的にリスクのある資産運用ではリスク分の利益を求めますので

利率に加えてリスクプレミアムというものが要求されます

そのため上記のような関係になるはずだいえるのです

それでは今後の日本ではどのような資産運用が望ましいのでしょうか?

これに関しては一概には言えませんが今まではリスクを嫌う個人が

貯蓄や国債購入に傾いてきたためリスクが銀行や政府に集中する

事態が生じてきました

このため、不況になったときに企業倒産などによりリスクが現実化し

銀行が倒産するなどのいわゆる金融危機が生じてしまいました

そういったことからリスクの担い手を個人にまで広げていく観点で

貯蓄から投資へという政策目標が掲げられることになりました

広く薄くリスクを担うことで不況などになったときに致命的な金融危機

などを防ぐことができます

以上のことから貯蓄→投資、投機という流れが生じてきている現在は

望ましい方向へと向いてきているとはいえます

ただし、投資的な視点よりも投機的な視点が注目されるようになり

マネーゲームなどやモラルの低下といった市場の問題点も浮かんできています

したがって今後は個人がきちんと将来的なリスクを考えながら

投機から投資へと成熟していくことが望ましいと考えられます

とはいえ、投資には多くの情報や長期的な視点が必要であるため

人々の資産の流れが鈍る可能性もあります

そうなると企業の短期的な資金需要にこたえられないなどの問題も

考えられますので、一定規模の投機家も必要になります

また、市場において投機筋の動きは決定的な流れを作り出すことも

しばしばあり、一昔前のエンロンの事件では投機筋からの売り浴びせにより

問題が公になったということもありますので、一概に投機筋を排斥すれば

良いというものでもありません

要は、個人で資産を運用するにあたり、自分の行動のリスクをきちんと

把握し、市場の情報に左右されすぎないことが重要です

短期的な儲けによりギャンブル的な楽しみを追うことを止めることはできませんが

市場参加者のモラルや構造を悪い方向へ導くほどのマネーゲームは

良くないことは確かです

市場をどうコントロールしていくかは今後の日本の資金面から見た経済において

非常に重要なテーマになっていくことでしょう